春のセンバツ高校野球は東邦高校が平成元年以来の優勝となりました。平成の最初と最後を勝利で飾ったわけですから感慨深いものがあります。
そんなセンバツ高校野球ですが、後味の悪い試合もありましたね。
そう、2019年3月28日に行われた「習志野高校(千葉)VS 星稜高校(石川)」の一戦です。
試合終了直後に星稜高校の林和成監督が「習志野高校は1回戦からサインを盗んでいた!」と習志野高校の小林徹監督に猛抗議をした騒動です。
習志野高校の小林徹監督は否定しましたが、疑惑は残ったままになりました。
そこで今回は、高校野球でサインを盗んだらルール違反なのか、もし破ったらどうなるのか等について、調査してみたいと思います。
どんな手段でサインを盗むのか、盗んだらなにか利点があるのかや、ペナルティなどについて徹底的に調べますから、どうぞ最後までお付き合いください。
サイン盗みはルール違反?
高校野球ではサイン盗みは明確に禁じられています。
走者やベースコーチなどが、捕手のサインを見て打者にコースや球種を伝える行為を禁止する。もしこのような疑いがあるとき、審判員はタイムをかけ、当該選手と攻撃側ベンチに注意を与え、すぐに止めさせる。
しかし、これはルール違反ではありません。あくまでもマナー違反であるということです。
ルール違反ではなくマナー違反であることに留意してください。
罰則無いマナー違反って誤解生む?
先程、ルール違反ではなくマナー違反であることに留意していただくよう述べました。
マナーなので違反しても罰則はないんです。
注意を受けてそれでおしまいです。
なんか、分かりにくて誤解を生んでしまう、と感じてしまうのは私だけでしょうか?
ですからグレーゾーンとして高校野球にはサイン盗みと思われる事例が後をたたないんです。
何とかならないものでしょうか?
もしプロの世界などでサイン盗みなどをしたら、次の打席で報復死球を浴びることになりかねません。
どんな手段でサインを盗むの
野球ではバッターの後ろにキャッチャーが構えています。ですからバッターからはキャッチャーの出すサインはわかりません。
ですが出塁した選手からはキャッチャーの出すサインは丸見えになります。特にセカンドランナーはキャッチャーの正面に位置します。
そしてそのサインを何らかの方法でバッターに伝えるとサインを盗んだことになります。
分からないように身振り手振りで、その情報を伝えます。
ピーチャーが投げる「コース」や「球種」を伝えることでバッターが狙いやすくなります。
スポーツマンシップに反するのか
スポーツマンシップには明確に反しています。サイン盗みは重大なマナー違反ですから。
また、これを許してしまうと試合時間が長くなるということもあるんです。
野球はサッカーなどとは違い、試合時間が決まっていません。ですからただでさえ試合時間が長くなります。
サイン盗みが横行するようになったら、サインを複雑化しなくてはいけませんから、ピッチャーが球を投げるまでの時間が伸びてしまうでしょう。
さらに、ピッチャーがキャッチャーのサインを拒否することもありますから、試合時間がますます伸びてしまいます。
バッター有利?
打席に立ったバッターの最大の関心事はピッチャーの投げる球にあります。
球種やコースがわかれば、それにアジャストして振るなり振らないなりという判断を下すことが出来ます。
ストライクで狙い球であれば、思い切って打てばヒットになる確率は上がりますよね。
一方、ピッチャーとキャッチャーのバッテリーにとっては死活問題となります。
バッターが次の球種を知ってしまったら打ち取ることが難しくなります。
バッターには天国でも、ピッチャーには地獄ということになります。
ただ逆に、読んでいた球の球種やコースが違っていたら、バッターは打てなくなります。
その時はバッターはデメリットとなります。つまり、利がなくなります。
しかし、上手いバッターは、ファールで逃げています。
ですから、やはりバッター有利になりますよね。
マナー違反は制裁がある?
プロや国際大会でマナー違反を犯すと制裁が待っています。そしてそれに文句をつけることは出来ないんですよ。
サイン盗みではありませんが、2年前の「U-18世界大会」のカナダ戦で、清宮幸太郎選手がマナー違反を犯してしまいました。
清宮幸太郎選手は7点差で日本がリードしているにもかかわらず、盗塁を試みてしまったのです。
これは非紳士的行為として「マナー」で禁じられています。
そして、その報復としてカナダチームからデッドボールを浴びています。
高校野球で報復死球はあってはならない行為です。
ですが、こういうことが起きてしまいました。
おそらく、本人はマナー違反ということは知らなかったのだと思います。
違反したら、制裁でデッドボールを受けるわけですから、知ってたらやらなかったでしょう?
プロ野球はルールで禁止?
日本野球機構(NPB)ではセントラル・リーグは2009年に情報伝達の禁止を申し合わせています。
パシフィック・リーグではそれを遡る10年前の1999年に情報伝達禁止の監督宣言を行っています。
メジャーリーグ(MLB)でももちろん紳士協定が結ばれています。
もし、サイン盗みなどしたら両軍入り乱れての乱闘騒ぎになるでしょう。
ですから、サイン盗みはしないでしょう。
ただ、注意してほしいのは「情報伝達」がご法度という点です。
つまり出塁した走者がサインを見て変化球だとわかったから盗塁したというのは違反にならないんです。
自分のために情報を活用することは許されています。それを他者に伝える行為が禁止されているということなんです。
まとめ
- サイン盗みはルール違反とされていない。マナー違反として扱われる。
- 高校野球ではサイン盗みはマナー違反なので罰則はない。
- サインを盗む方法は出塁した走者がサインを見て、それを何らかの手段で打者に伝えるというもの。
- サイン盗みは明確なスポーツマンシップに反するマナー違反。
- ピッチャーが次にどんな球を投げるのかわかればバッターは格段に有利になる。
- プロ野球や国際大会、メジャーリーグでもサイン盗みは重大なマナー違反となり、制裁は黙認される。
- 日本野球機構(NPB)ではいわば紳士協定としてサイン盗みは行わないことになっている。ルールで禁止しているわけではない。ただし情報伝達は禁止されている。
- メジャーリーグでも紳士協定は結ばれている。
以上、高校野球を中心にサイン盗みについて見てきました。
重大なマナー違反なんですが、罰則がないのでグレーゾーンになっています。
私見ですが高校野球に限っては罰則を設けた方がいいと思います。
「マナー」という緩い規定では清宮幸太郎選手のように、国際大会でうっかりやってしまう選手がこれからも出るでしょう。
高校野球ではすべてのマナーに罰則を設ければ、こうしたことはなくなるでしょう。
コメント